主な共演邦人アーティスト


展覧会の絵 斎藤雅広〜ザ・ヴィルトゥオーゾ

斎藤雅広のピアノ・アラウンド・ザ・ワールド

マイ・ロマンス〜斎藤雅広 大人のためのピアノアルバム

斎藤雅広 こどものためのピアノアルバム 《こんな曲を弾いてみよう!》





−「レコード芸術」2003年2月号特選盤−

渾身の力から生まれた響きを、思いを、聴いてくれ!

デビュー25周年記念アルバム

展覧会の絵 斎藤雅広 ザ・ヴィルトォオーゾ


私達が若い頃は、現代ほど情報が溢れていなかったので、ホロヴィッツのような伝説的巨人達に「いつか自分たちも太刀打ちできるのでは?」というクレージーでスリリングな妄想を抱いて、ひたすら弾きまくっていました。
年とともに自分の力量を知って、でも落ちこむどころかそんな芸術の素晴らしさに触れて、益々音楽が好きになって興奮した日々を送る・・・・私の中のそんな憧れを、そんな自分の脈拍の高まりを、改めて、ここで表現してみたかったのです。斎藤雅広(ライナーより)

*収録曲目*

リスト/ラ・カンパネッラ
ムソルグスキー/組曲《展覧会の絵》
スクリャービン/練習曲 嬰ハ短調 作品2の1
ワーグナー=リスト/イゾルデの愛の死

斎藤雅広 (piano)

WARNER MUSIC JAPAN  WPCS-11463 (発売元:ワーナーミュージック・ジャパン)  税込定価 ¥2,520

◆◆◆

まず、胸のすくようなテンポと曇りのない技巧で、<ラ・カンパネッラ>を弾き上げ、《展覧会の絵》に入ると、むしろニュアンスの豊かさで、彼は聴き手の心をつかむ。情緒の上では、とりわけ後段、<カタコンブ><死者たちと・・・><バーバ・ヤーガ>あたりにクライマックスが置かれ、したがって聴後感がたいそう充実する。末尾の2曲、スクリャービンとワーグナー/リストも、情念の深みを目にみせてくれるかのような演奏である。ディテールの強調や間の取り方にしても、彼のやりかたはけっして当世流ではなく、むしろ古き良き時代の巨匠たちのように、音楽を自分の胸の上にぐいと引き寄せてしまう趣すらあるのだが、思い切りよく、板についた呼吸で行なうために、不自然さに陥りはしない。遊びごころと並でない実力とを両立させる人、それがヴィルトゥオーゾだという定義がもしあるとしたら、彼は申しぶんなくそれに当てはまろう。貴重な人材である。(濱田慈郎/「レコード芸術」2月号*特選盤)


<ラ・カンパネッラ>ではピアニスト持ち前のヴィルトゥオジティが存分に発揮されている。燃焼度が高く、沸き上がる情熱と流麗なパッセージに彩られた快演だ。《展覧会の絵》は動的かつスケールの大きな演奏である。冒頭の<プロムナード>の明るい和音の高鳴りと弾力性のあるテンポ感が快い。それにしても鮮やかなテクニックだ。音のかたちが美しい。<グノームス>は豪放ともいえる演奏だが、決して混沌とした響きの渦にまぎれてしまうことはない。情念の表出も濃厚で、いらいらとした気分がよく出ている。<古城>の幻想的な色合い、<ビドロ><バーバ・ヤーガの小屋>の壮大なダイナミズム。どんな強打でも音が潰れない。<キエフの大門>へいたる圧倒的なクライマックスも痛快の極みだ。演奏の完全性を目指すゆえについつい臆病になり、一線を超えられない演奏がいかに退屈か。ヴィルトゥオーゾとはつまるところ精神の有りようの問題なのではないか。しかしながら、もちろん、それに見合うだけの力量と音楽性をそなえていなければならないのだが。斎藤雅広はそれを見事に証明してみせた。(那須田務/「レコード芸術」2月号*特選盤)


各曲の演奏コンセプトをきわめて明快にしている点に特徴がある。リストはきらめくごとくカッコ良く、ムソルグスキーはややオーケストラ風で、細部のデフォルメに凝る。そしてスクリャービンはウェットかつ陰影豊かにやる。ワーグナーもオーケストラ風であり、あえて時代がかったようにやる。斎藤のもう一つ優れた点は、そうしたコンセプトでただ単に巧く弾くということに終わらず、こうして弾くのが面白くてたまらないということを、臆面もなく素直に音に表していること。だからこその説得力だ。(石原立教/「CDジャーナル」1月号*推薦盤)



渾身の力だからこそ、胸を打つのだ。

(中村なを/音楽ライター)

かつて「芸大のホロヴィッツ」と畏怖され、今や年間百回余りのコンサートに多数のCD録音と大人気の斎藤雅広だが、その「ピアノ弾き」としての凄さを見せつけるCDがやっと出現した。デビュー25周年を機に一念発起し、不世出の名手ホロヴィッツに挑む気概で臨んだ録音がこれだ。《ラ・カンパネッラ》はピアノの超天才リストがヴァイオリンの鬼才パガニーニの超絶技巧に触発されて書いた曲。斎藤はこれをジェルジ・シフラやジョン・オグドンらと史上最速を争うスピードで弾く。そして歌舞伎役者が大見得を切るかのようなトリル!ここをサラリと流せば4分さえ切ったかもしれない。斎藤は言う。「本来は超絶技巧を見せてワクワクさせる曲なんだから、そう弾かなきゃ!僕のは、奇跡でも情熱でもない、普通のカンパネッラ」。《展覧会の絵》の録音でも「ピアノを鳴らし切り」「難曲を弾き切る」ことに徹底してこだわった。難所でスタッフが提案した「安全運転」や「編集」を、「ここは、ピアノを鳴らし切って弾かなきゃ聴いて楽しくないんですよ」と一蹴する。「そこまでやるなら、フィナーレはオーケストラみたいにクレッシェンドして下さいよ」との無理難題に笑顔で応えてセッションが終わった時は、さすがに両手指が腫れ上がっていた。この2曲に先立って録音されたスクリャービンのエチュードは、ホロヴィッツがアンコールとして最も好んだ曲であり、<イゾルデの愛の死>はホロヴィッツのラスト・レコーディングの最後に収録されていた曲だ。斎藤は「心からの敬愛を込めて」ロマンティックに弾いている。このCDからは、「渾身の力」を込めた演奏から生まれる凄みのあるサウンドと、心からの敬愛に満ちた優しさが聴ける。「ホロヴィッツみたいに凄かった斎藤雅広」は、25年を経て「斎藤雅広という凄いピアニスト」になっていた。



これは日本人のピアノ演奏における一つのマイルストーンであり、
演奏とサウンドの両面においてピアノ・ファンは必聴です。

(WARNER MUSIC JAPAN 担当ディレクターのレポート)

12月22日にデビュー25周年記念演奏会を控え、節目の年に一念発起して不世出の名手ホロヴィッツに挑むという、その心意気に感じたワーナーと組んで、8月下旬に録音を決行!「ピアノが腹の底から吼える時の、音の凄みを伝えたい」との気持ちで、最初の一日はピアノを「鳴らす」ことに専念。史上最強のピアニストにたとえられた男の意地がピアノに激突した結果、稀にしか聞かれない変幻自在にして鮮烈壮絶なサウンドと演奏が生まれたのでした。

リストの<ラ・カンパネラ>は、某大ヒット「奇跡のカンパネラ」に対して2倍近い速さで一陣の風のごとく弾き進みますが、当の斎藤は「僕は楽譜どおりに弾いてるだけなんで、『普通のカンパネラ』か『リストのカンパネラ』ですね」と涼しい顔。レコーディング風景
《展覧会の絵》では、ホロヴィッツの伝説的名盤にならって、<サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ>の後の<プロムナード>をカットして一気に<リモージュ>へなだれ込みます。その興奮度!!そして<キエフの大門>のフィナーレでは、楽譜に無い「チェリビダッケが指揮したオーケストラみたいなクレッシェンドを」とのスタッフの過酷な要望に全力で応えます。

ホロヴィッツが終生アンコールの定番としたスクリャービンの<エチュード>と、ホロヴィッツのラスト・レコーディングの最後の曲目となった<イゾルデの愛の死>は、巨匠へのオマージュの気持ちを込めた美しい演奏となりました。

<発売元:ワーナーミュージック・ジャパン/2002>





大歌手トム・クラウゼをしてピアノの詩人と讃えられた彩り豊かな味わいで綴る音の世界旅行

名手斎藤雅広がJazzyにスイングするエンターテイメント・アルバムの決定盤!

斎藤雅広のピアノ・アラウンド・ザ・ワールド

アラウンド・ザ・ワールド

大人のための渋くてしゃれたスタンダードにクラシックの小品を潜ませた旅情満点のピアノ名曲集。編曲はもちろん名手斎藤雅広本人。全16曲中5曲にドラムスとウッド・ベースが参加。ジャズ・テイストを織りまぜた粋で楽しいサウンドに仕上がっています。「モーストリー・クラシック」誌に連載された斎藤雅広による大好評ピアノ講座「ピアノ虎の穴」課題曲も収録、この連載は単行本としても刊行予定。また音楽之友社よりCDと同趣旨の楽譜集「ピアノ・アラウンド・ザ・ワールド」が発売決定。
*収録曲目*

マンシーニ/酒とバラの日々〜ムーン・リヴァー
斎藤雅広編/グリーンスリーヴズ変奏曲
レノン&マッカートニー/ヒア・ゼア・アンド・エヴリホェア*
コスマ/枯葉
ピアソラ/リベルタンゴ*
ポンセ/エストレリータ
ジョビン/ジェット機のサンバ*
バッハ/G線上のアリア*
ジーツィンスキー/ウィーンわが夢の街〜レハール/メリー・ウィドウ・ワルツ
シベリウス/悲しきワルツ
ショパン/ノクターン第5番嬰ヘ長調Op.15-2
グラナドス/アンダルーサ
ラフマニノフ/パガニーニの主題による狂詩曲より
デ・クルティス/帰れソレントへ〜ビクシオ/マリウ愛の言葉を〜ディ・カプア/オー・ソレ・ミオ
斎藤雅広/旅のエピローグ
ヤング/アラウンド・ザ・ワールド*
《編曲:斎藤雅広》

斎藤雅広 (piano)
ブラッド・ジョンストン(ドラムス*)
ブレント・ナッシー (ウッド・ベース*)

デンオン COCQ-83547 (発売元:日本コロムビア株式会社)  税込定価 ¥2,940

◆◆◆

=多才さ爆発!のこじゃれた一枚=“斎藤さんの多才さというものを全開させたアルバムです。ポピュラーからクラシックまで、編曲の方もベースやドラムスを入れたトリオでジャジィにやったり、そのまんまクラシックに弾いたりといろいろで楽しめます。ピアノ・ソロの演奏では、イージーリスニング仕様の演奏が基本になっておりますが、「G線上のアリア」ではジャック・ルーシェ風でないところがちょっと新鮮。総じて編曲はオーソドックスですが、けっこう洒落ています。トリオ演奏での間の取り方や入り方など、なかなか堂に入っています。いきなりやってもこういうタイミングは取れません。やっぱりセンスですかね。”(田中明/「CDジャーナル」9月号*推薦盤)



“「斎藤さんは、やっぱコスプレでしょう」・・・・
おいおい、せっかく前作「マイ・ロマンス」でダンディな路線を作ったというのに、なんてぇことを言うんだい! 頼むよ、コロムビア・・・・が、しかし「機長でごジャル?そうジャスかぁ、アナがち悪くないかも」というわけで、はじけたジャケットの新しいCD「ピアノ・アラウンド・ザ・ワールド」は、内容もショパンありラフマニノフあり、ムードたっぷり映画音楽からビートルズ、カンツォーネと盛りだくさん。ソロからジャズ・トリオまで大人の遊び心でいっぱい!オジサン(?)ならではのシブイ仕上がりでスタッフ一同大満足(自分で言ってるし・・・・)、すっかりゴキゲンな気分です。ぜひ皆様もこのCDで、世界旅行を体験しませんかぁ?
いや、ホントはとてもロマンティックな内容なんです。そしてメガネかけた機長も実際はいませんよぉ(笑)。対応楽譜も暮れに音友から出ます! こちらもどうぞよろしくお願いしまーす!”(斎藤雅広/「ムジカノーヴァ」9月号)



南米やヨーロッパ各国の名曲を硬軟おりまぜて、斎藤雅広風に味付けしてみました、といった企画のアルバムなのだが、そこで国際線の機長の制服を着ないと気が済まないのが、芸術性サービス精神多発症のこの人らしい。クラシック演奏家の「お遊び」どころか、めちゃくちゃ腕の立つピアニストが、自らのトリオを率いて味のあるジャズを聴かせているところが凄い。斎藤雅広のライヴの楽しさを、まだご存じでない読者にはイチ押しでオススメだ!センチメンタルなメロディーが切ないオリジナル曲「旅のエピローグ」は、ジンワリ効きます。 (「モーストリークラシック」9月号)



クラシックピアノの名曲も含めた幅広いジャンルでのポピュラーな小品を集めている。ショパン、シベリウス、グラナドスを除く曲は斎藤自身の編曲。彼の器用さを示すアルバムで、もちろん演奏も達者だし、なかなかに魅力的だ。(百瀬喬/「ムジカノーヴァ」10月号)



名手斎藤のアレンジャーとしての腕の冴えも十分にうかがわれるしゃれたアルバム。クラシックは勿論の事、ポピュラーやジャズまで弾きこなす多彩ぶりには目を見張るものがある。特にベースとドラムスが加わった5曲はご機嫌なノリだ。また今回は一部作曲もしている。(「レッスンの友」10月号)



彼はどんな種類の音楽に対してもエンターテイメント性を鋭く感受し、聞き手にストレートに伝えるための技術を持っている。そのため彼の演奏には、ピアノを弾く喜び、音符を音化する喜び、そしてひとに伝える喜びがあふれている。彼はたとえ一人で弾いていてもおそらく見えない聴衆に幸せを分け与えているように演奏するであろう。(横島浩/「音楽現代」10月号)






斎藤雅広の美しい音の翼に乗って

(横堀朱美/音楽評論家)

斎藤雅広は多才なアーティストです。(中略)自分の関心を表現できる場をすべて有効に活用しながら、自分が創造する芸術世界や、音楽の楽しさといったものを広く伝えようとしているからに違いありません。消耗されるばかりの音楽が多いなかで、斎藤雅広のピアノから紡ぎだされる音楽の数々は、その昔作られた音楽をアレンジしたものも、たった今作られた新しい音楽も、新鮮な表情と音をもって、聴きての心にほほえみかけ、いつしか自然に心に深く刻まれていきます。ここには、ショパンやシベリウスの曲から、ピアソラや映画音楽のテーマまで収録されていますが、ラインナップも最高で、美しいメロディと高揚感、ポップやラテン、ジャズのフレーヴァーが交錯します。さぁ、斎藤雅広の美しい音の翼に乗って、世界一周・音楽の旅が始まります……………。

ライナーノートより

(大沢悠里/TBSラジオゆうゆうワイドパーソナリティー)

どーもクラシックは堅苦しくて苦手だなあ等という声を耳にする。しかし数多くの音楽家や演奏家の中でその問題を解決しようと努力している方もおいでだ。いやあ見つけた、聴いた、感動した。見ためは学校の社会の先生かなと思ってしまったこの方、斎藤さんの指先から溢れ出た音符、花開く音楽!! 魅せられた技、なんだか楽しくなってきた。心身共に癒される。(中略)ほんのちょっとの旅でも、このCDを聴くとその土地の景色、食べ物、空、海を思い出す。そしてまた旅に出たくなる。しかし休みが取れない。行きたい、行けない。私はイライラする。こんな気持ちをどうしてくれるんだ。これはとんでもないCDだ。

<発売元:日本コロムビア株式会社/2001>




円熟のピアニストがあなただけに捧げるバラードの花束!


My Romance 斎藤雅広
〜大人のためのピアノアルバム〜


心の傷口に男の辛口なモノローグがしみいる・・・
my romance doesn’t  need a thing but you.

NHK趣味悠々お父さんのためのピアノ講座の課題曲をCD化して欲しいという多くの方々の声をいただいてリリースされるこのCD・・・
そして様々なレパートリーを模索するうちに、厳選された辛口の上質ワインを1本1本吟味するソムリエの様な気分になってきました。傷ついた心やロマンティックな憧れを隠すことなく赤裸々に語る男のモノローグを優しく包むこの曲たちは、癒しの音楽などではなく、癒されることの出来ない心にこそ染み入るものだと思います。マイ・ロマンス・・・愛するあなたと私には、人がロマンスと呼ぶ素敵な出来事は何もない・・・なぜなら私のロマンスはあなたしかないから・・・寂しくもあり悲しくもあり、最上の幸せでもあるそんなひとときを、愛する大人の恋人たちに、クリスマスに贈れるなんて、とても幸せです。 (斎藤雅広)

*収録曲目*

ロジャース/マイ・ロマンス *
ショパン/夜想曲 第2番
ショパン/夜想曲 遺作
ショパン/雨だれの前奏曲
ドビュッシー/前奏曲〜ベルガマスク組曲
ドビュッシー/月の光〜ベルガマスク組曲
ドビュッシー/アラベスク 第1番
ドビュッシー/亜麻色の髪の乙女
スクリャービン/アルバムの綴り
ガーシュイン/前奏曲 第2番
リー&バーク/ラ・ラ・ルー *
フップフェルト/時の過ぎ行くまま〜カサブランカ *
ワインガルトナー/橋をゆく少女
サティ/ジムノペディ 第1番
サティ/彼の眼鏡
モリコーネ/ニュー・シネマ・パラダイス *
プーランク/手の上の心臓
プーランク/ノヴェレッテ 第1番
プーランク/ノヴェレッテ 第3番
ロジャース/マイ・ファニー・ヴァレンタイン *
ロジャース/マイ・ロマンス(ロング・ヴァージョン) *
(*・・・斎藤雅広編曲)

デンオン COCQ-83484 (発売元:日本コロムビア株式会社)  税込定価 ¥2,940

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“ ’弾かない間の空気間’を彼自身の(声のない)言葉で語りつつ、ピアノの生音の美しさと曲の響きを最大限に生かし、聴く者の耳を心地よい刺激で包んでくれる。特にショパンの「夜想曲 遺作」での’間’がすばらしい。鍵盤をたたく音とピアノの反響、その後の一瞬の静寂がなぜか心にジーンときてしまった。クラシック好きはもちろんのこと、ピアノの’音’が好きな人にもぜひ聴いてもらいたいアルバムだ。”(木戸美絵/「CDジャーナル」1月号*推薦盤)



“思いっきりの名曲を思いっきり弾いたという感じのアルバム。世界的にも屈指の腕前を持ちながら、音楽の伝道師としてテレビ番組の「キーボーズ」といった活動を優先させてきた斎藤が一人のピアニストに戻り、音楽への思いをぶつけて弾いていて、まさに極上の刻(とき)を紡いでくれる。”(田中良幸/「産経新聞〜無礼選盤」2000年12月22日夕刊)



“硬質で透き通るような清澄な音色、そして、ヴィルトゥオーゾと呼ばれる人々だけの秘術である、聴く者を夢中にさせてしまう絶妙な音楽の呼吸に、ただただ陶然とさせられる。まさに大人のための極上の世界。”(「モーストリークラシック」1月号)



すてきな時間を過ごしたいのなら

(タチアナ・エゴロヴァ/ジャーナリスト)


タイトル通りに本当に大人に聴いてほしい作品だ。大人の楽しみや悲しみ、そんな心の繊細なひだが、ここまでせつせつと語られた演奏はかつてない。このCDを聴いた人はだれしも「これは!」とばかり魅せられてしまう筈である。斎藤雅広のピアノは誰のものとも違う・・・一旦彼の演奏の虜になってしまうと、その曲がショパンのものだろうがドビュッシーのものだろうが、それすら重要な事ではなくなっていくのである。作曲者が絶対のクラシックにおいて、そんな現象は起こりえないはずなのに。斎藤雅広は実に巧みなストーリーテラーで、曲を通して1つの物語の空間を作りだしてしまう。その世界がいかにものロマンや幻想でなく、生身の男のたくましさや脆さ、艶やかな魅力がありありと窺える・・・頭の固い向きには一生理解ができないステキな世界・・・しかしもし人間として心に渇きや傷をもっているのであれば、彼の音楽はいつもそばにいてほしい・・・斎藤の演奏活動はこうして熱心なファンによって支えられてきた。初のジャズのレパートリーも実に内容豊かで、貫禄の名演。聞き古したピアノの曲も語るが如くの表現で、色恋を扱った絶妙なバラードの様に新鮮な色彩で描かれる。贅沢な時間を過ごしたい人には特にお勧めの、さすがの名手の技に脱帽。


斎藤キューピットの力  〜ライナーノートより

(阿川佐和子)


笑っている場合じゃない。斎藤さんが登場すると聞いただけで、つい笑いがこみ上げてくる人もいるかと思うが、今回はちょっと、いや大いに違う心持ちで、このアルバムに耳を傾けていただきたい。斎藤さんの本領はここにあったかと、わかっていたつもりでも、改めて驚嘆させられるにちがいない。あの派手ないでたちや、高らかな笑い声にカムフラージュされて、いつもは見落としがちだった彼の超人的才能を、このときこそじっくり、しっとり、しみじみ聴くことになるだろう。そして次第に、胸は高鳴り、忘れかけていた心の痛みがチクリチクチク蘇り、瞼の底からこみ上げてくるものを感じ、それを他人に知られまいと、ワイングラスを口に近づけたりなんぞして、笑ってごまかすであろう。騙されてはいけない。これぞ斎藤雅広の策略なのだ。彼は聴衆を至福の境地に誘い込むためには、手だてを選ばぬオトコである。どんな労力も奇抜なアイディアも、惜しむことなく発揮する、とんでもない奇才である。十本の指を鍵盤の上でみごとに踊らせながら、彼は、ローマ神話のいたずらキューピットのごとき声色で、軽やかに囁くのである。「ね、いいでしょ、いいでしょ。ロマンティックでしょ」私はワインを一口、喉に流し込みながら、気取った様子で答えることにしよう。「そうね、今夜くらいは、そういう気分になってもいいかもね」と。

<発売元:日本コロムビア株式会社/2000>




斎藤雅広がピアノとこどもたちへの熱い思いをこめて・・・

こどものためのピアノアルバム
≪こんな曲を弾いてみよう!≫

〜これらの愛らしい小品を、これほどまでに美しく、
芸術的に歌い上げたピアニストがいただろうか〜
『トゥトゥアンサンブル』でのキーボーズ以来、すっかりこどもたちのアイドルになってしまったピアニスト斎藤雅広が「さあ、こんな曲を弾いてごらん!」・・・とこどもたちへの優しくあたたかいメッセージをこめた、こどもたちにとってはオモチャ箱のような、そしておとなたちにとっては宝石箱のような、今までに発売されていた教育用のCDとは一味も二味も違う珠玉の小品集。聴く人を惹きつけて放さない斎藤の魅力的なフレージングとテクニックの見事さは、こどもだけではなく、全ての音楽愛好家の皆様にご満足いただけることでしょう。
あの「火祭りの踊り」を最後に、子供たちにこんな曲を弾いてほしいという斎藤雅広のメッセージをこめた子供のためのソロCD。みんなが勉強するブルグミューラーやギロックなどのかわいい小品や、シューマンのトロイメライ、モーツァルトのトルコ行進曲、ドビュッシーのゴリウォーグのケークウォークなど、子供たちの大好きな曲、全28曲。キーボーズによるわかりやすい解説付き!


*収録曲目*

シューマン「子供の情景Op.15」〜見知らぬ国から,トロイメライ
チャイコフスキー「子供のアルバムOp.39」〜甘い夢
カバレフスキー「子供の小品集Op.27」〜ソナチネ
プロコフィエフ「子供のための音楽Op.65」〜行進曲
ブルグミューラー「25のやさしい練習曲Op.100」〜アラベスク,優美,せきれい,バラード,貴婦人の乗馬
J.S.バッハ「アンナ・マグダレーナのための小品」〜メヌエット
モーツァルト「ピアノソナタ第11番イ長調K331」〜トルコ行進曲
ケーラー「子供のためのアルバム」〜ポルカ,学校の帰り,子守歌,おばあさまのワルツ
グルリット「24の旋律的練習曲」〜乙女のかなしみ
ドビュッシー「子供の領分」〜グラドス・アド・パルナッスム博士,小さい羊飼い,ゴリウォーグのケークウォーク
ギロック「叙情小品集」〜なつかしいバレンタイン,セレナード,魔女の猫,秋のスケッチ
ギロック「ジャズスタイルピアノ小品集」〜土曜の夜はバーボンストリート,アップタウンブルース
ギロック「発表会のための小品集」〜エオリアンハープ
ファリャ バレエ音楽「恋は魔術師」〜火祭りの踊り

CRCI‐20414 (発売元:日本クラウン株式会社)  税込定価 ¥2.500



ピアニスト斎藤雅広について 〜ライナーノートより

(千住真理子/ヴァイオリニスト)

その時、驚くべきスピード感とウィットに富んだ音楽が我々を圧倒した。音楽家の間で「人間業じゃない!」といううわさが飛び交い、彼は若干18歳で、一躍スターの座に踊り出た。誰からとも無く“宇宙人ピッピ”と言う愛称がつき、ピアニスト・ピッピは誕生したのである。それが斎藤雅広だ。
彼はピッピから更に変貌をとげ、子供のアイドル・キーボーズとして、今やテレビにコンサートに大忙しである。絶妙な会話センスと演奏技術。ひそかに鍛え上げてきた努力の跡形さえ感じさせないのは、朗らかな彼自身の人間性に他ならない。
おなかを抱えてげらげら笑いながら、フッと哀愁を感じ、彼の音楽の世界から抜け出せなくなる・・・。彼の音楽にはそんな魅力がある。


このアルバムによせて  〜ライナーノートより

(神崎ゆう子/歌のお姉さん)

すべてのパートを一人で演奏することが出来るピアノは楽器の王様。ピアノを通して音の心はその音のように優しく、そして軽やかに。時には情熱的です。自分の演奏が完成した後、もう一度その曲を聴いてみて下さい。きっと、また何か新しい発見があるでしょう。もっと、素敵に弾くために、子供たちには本物の音楽を聴いてもらいたいと思っています。小さな感動が大きな音楽家を育てるのではないでしょうか。

<発売元:日本クラウン株式会社/1999>