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イタリア・ロマンティック名曲集/イロナ・トコディ |
EXTON / OVCL00008(¥2,800) |
「禁じられた音楽」イロナ・トコディ/ライヴ・イン東京V |
(郡 愛子/声楽家) |
CDをかけた途端ひき込まれてしまった。 艶のある深く美しい声と自然なエスプレッション、そして支えのある完璧な発声法の上に基づいて、何のごまかしもてらいもなく、歌の本質を心で感じたまま見事に歌っている。 私たちオペラ歌手は発声に注意をはらうということを超えた次元で、感じたままを人に伝えたいと思い常に努力している。発声と解釈だけを押しつけてくる“大歌手”もいるが、イロナ・トコディは何と無防備に心を開いて歌ってくれていることだろう。歌とは元来こういうものだったのだと、心から感動した。お会いしたことはないけれど、きっと温かくユーモアに富んで、心のひろい人間味溢れる方であろうとの確信を持った。 さらにコンサートのあり方として、一つのコンサートで一つのテーマを追求することも良いが、彼女のレパートリーには目を見張るものがある。オペラからドイツ、イタリア、スペインの歌曲、カンツォーネにいたるまで、どれもがトコディにかかると生命がみなぎり、ノーブルでしかもチャーミング・・・。まるで全ての曲がもともと彼女のために作られたオリジナル曲のようだ。 また、斎藤雅広氏のピアノも衝撃的である。神業の如く歌との一体感を感じさせ、ある時はオーケストラのように。またある時はチェンバロのように歌と絡み合いながら、心に滲みて来る。凄いピアニストがいるものだ。 こんなピアニストと一緒に仕事をすることができたら、無限の可能性と喜びを求めることができるだろう。彼も常に人の気持ちを大事にする、誠意に満ちた素晴らしい方に違いない。 ステージに立つと、そのひとの人格、生き方が赤裸々に出てしまうものである。歌ってゆくことの怖さを改めて感じるとともに、私自身このお二人のアーティストのように、心も技もさらにみがいてステージに臨まなければ・・・との決心を新たにした。 |
LIVE NOTES / WWCC-7267(¥2,913+税) <発売元:ナミ・レコード/1995> |
イロナ・トコディ/ライヴ・イン東京U |
(三林 輝夫/声楽家) |
何と心満たされる歌声の数々だろうか。バロックのアリアからオペラ、オペレッタ、民謡と、ジャンル、時代を越えて歌の素晴らしさや魅力を堪能させてくれるイロナ・トコディのライヴ録音による2枚目のCDである。 初来日のステージを聴いてすっかり彼女のとりこになったのは1991年の春だったから、あれから3年、今や世界で最も売れっ子の、押しもおされぬソプラノ・リリコスピントのスターの座に馳け上ったトコディ。しかし一向に気取らぬプログラムで聴く者を楽しませてくれるのは、うれしい限りである。 トコディの声は抜群の息の支えによって伸縮自在。コントロール自由で、歌声は表現そのものといって良い。巧緻きわまりない歌いまわし、人を魅了する独特のアーティキュレーションなどの音楽性は、教わって身につくものではなく、全く天性のものであろう。私はトコディの歌を聴くと、不世出の大ソプラノ、マリア・カラスを思い出す。 (中略) このトコディの心に響き合いながら最上質の音で活き活きとしたスケールの大きいピアニズムを展開している斎藤雅広の協演もこのCDの大きな特長であろう。 私の頭の中には、このトコディ:斎藤のコンビであの歌もこの歌も聴きたいという曲のリストが際限なく浮んでくるのを抑えられない。又ファン・ポンスとのデュエットがアンコールとは何と豪華なハプニングだろう。「シモン・ボッカネグラ」の舞台が見える様だ。 |
(斎藤 雅広/ピアニスト) |
今回のこのCDをお聴きになった方は、従来のトコディのイメージとは少し違った印象を受けられるかもしれない。いつもの繊細で優しい叙情性に満ちた面に加え、凛としたドラマティックな輝きが表現され、世界のプリマの貫禄を感じさせているからだ。ほとんど同じプログラムの東京芸術劇場でのライヴはNHKでも放送されたが、これはまた遊び心一杯の実に楽しいステージであったので、それとも味わいが異なっている。 という様にトコディという人は同じ曲を決して同じ解釈で歌う事がない。とにかく声楽家としては珍しいほどムラがなく、常に完成度高く歌える彼女だからこそ、感情の赴くまま自由な歌が展開できるのだろう。逆に伴奏とユニゾンで歌う時などには、観客に語りかけながらリズムをわざとはずして歌ったりもする。エネスコの歌曲や「忘れな草」「フラメ」もなどもそうだったが、それがむしろ心地よく感じられるというのは、優れたテンペラメントに加えて、極めて高いソルフェージュと読譜の能力を併せ持つ芸術家としての底力に他ならない。プログラミングでも、巧みな語学を駆使していろいろな国々の歌を散りばめ、良い歌であれば男性が歌う曲でも歌い、他の名歌手達の極めつけといわれる愛唱曲を積極的に取り上げる等、なかなか奥深いものがある。 |
LIVE NOTES / WWCC-7243(¥2,913+税) |
イロナ・トコディ/ライヴ・イン東京 |
LIVE NOTES / WWCC-7220(¥2,913+税) <発売元:ナミ・レコード/1992> |