今回のゲスト:スーパー・トリオ
足立さつき(ソプラノ歌手)&斎藤雅広(ピアニスト)
夢を描き、アイデアを出し、実行する! 究極のトリオ
赤坂、斎藤、足立の三氏は、「スーパー・トリオ」というユニットで活動するお仲間同士。その演奏は改めて言うまでもなく素晴らしいものであるが、同時にエンターテインメント性も兼ね備えた、まさに“スーパープレイヤー”が3人顔をそろえた夢のトリオだ。さぞ結束も固く、理路整然とした音楽談義が繰り広げられるだろう・・・と思いきや、座談会は無法地帯、思うがまま。真面目な話がされていると思えば、一方ではチャチャが入る。しかしにぎやかな中にも、妙にバランスがとれており、最終的には“なんだか結束が固いなぁ”という印象。その「自分たちが楽しむ、肩コリしない関係」が、彼らが届けてくれる「気持ち良い音楽」に繋がっているようだ。
第1回目は、そんな彼らの出会いのエピソードからお届けしよう。
全員が主役です!
赤坂 今日はお集まりいただいてありがとうございます。この企画は、僕がホスト役としてゲストと会話するというものなんです。まずは出会いの話から、音楽の話、何でもアリで。
足立 なんだか“ホスト”っていうのがピッタリですね!
斎藤 「タツ」って名前かな(笑)。我々の出会いは30年前、同じ産院で同じ日、同じ先生にとりあげられた僕らは・・・
足立 勝手に作らないでください!!(笑)
赤坂 斎藤さんのお話は半分本当だけど半分はフィクションなところもありますからね〜。それも含め、僕らのこの「スーパー・トリオ」は演奏しても楽しいし、話していても楽しい。でも基本的にこの3人は、会話にならないですよね。
足立 3人が3人とも自分勝手に話したいことを話すから、会話が成立しないんですよ。
斎藤 (笑)さて、「スーパー・トリオ」の成り立ちとしては、僕は以前から足立さんとよく共演させてもらっていて、リサイタルもだけでなく、僕のおしゃべりも交えたファミリーコンサートの企画もあって、その時々にゲストを招いて一緒に演奏したりしていたんです。そのうちに足立さんから「はっきりとユニットを組んで活動したい」と提案されて、僕が「それなら赤坂さんがいいと思う!」と。
足立 それまでは、テノールかバリトンとソプラノというカップルとピアノというトリオが多かったですよね。楽器だとフルートかヴァイオリンが多く、クラリネットと共演したことはなくて。赤坂さんに「3人でコンサートをしたらどうだろう」と相談に行ったら、快く引き受けてくださいましたね。
斎藤 トリオだと、ピアノはバックグラウンドをほとんど担当するけど、どうしても歌は言葉があるからメインになり、楽器はオブリガードの役割になりがちなんですよ。そうならないように、全員が主役で行きたいと思うと、フルートやヴァイオリンだとソプラノと音域が重なってしまう。でもクラリネットの音色は、メゾソプラノ的、内声的で音域も広いからピッタリだと思いました。
足立 暖かみのある音色が声ともピッタリ合うんですよね。
赤坂 クラリネットと歌とピアノのオリジナル曲は、シューベルトの『岩上の羊飼い』とシュポアのトリオくらいで、割と渋くて地味な曲ですよね。一緒にやりましょうって決めた当初は、珍しい編成だし、レパートリーに関してもできるのかな?って半信半疑だった。オリジナルは少ないけど、斎藤さんは素晴らしいアレンジャーでもあるので、僕らのレパートリーの90%以上が斎藤さんの編曲によるものですね。
斎藤 僕は赤坂さん以外のクラリネット奏者ともよく共演させてもらうので、クラリネットは指回しがとても速くできる運動量の多い楽器だということを知っていたんです。クラリネットだったら歌の周りを縦横無尽に駆け回ったり、甘い音色で寄り添ったりすることが出来ておもしろいだろうと思って。それでいて赤坂さんだったらスター性もある。足立さんと赤坂さんで“姫と王子だ!”と。これでハッキリ、僕の役目は道化師に決定(笑)。
赤坂 そんなことはないですよ!
夢は大きく、映画出演
足立 赤坂さんにとって、最初は海のものとも山のものともしれない企画だったと思うんだけど、参加していただいたら、だんだん燃える男になってきましたよね。
斎藤 僕らはだいたいにおいて、赤坂さんが夢を語って、足立さんがそれを現実にするにはどうしたらいいかを考え、僕が実行部隊って感じで役割が決まってる。
足立 斎藤さんからいろんなアイデアが出てきて、それを実行しようと画策しているところにまた赤坂さんが「じゃあもっと、こんなことはどう?」って新しい夢を描いて。
斎藤 「映画を作ろう」とかね。その時は僕と赤坂さんで映画監督に会いに行ったんだよね。そしたら「5000万あれば出来る」って言われて帰ってきちゃった。
足立 そんな話を聞いてると、「ちょっと待て、どこまでが本気でどこからが冗談なの?」という感じで、私は途中からついていけず、諦めて「家に帰って冷静に考えてくるから」って・・・。女性は現実的なんですよ〜。
赤坂 逆に言うと、足立さんがOKをすればすべて実行できるということですね。決定権を持ってるんですよ!
斎藤 そう。実行してもらえるように、二人で隙を見て姫の耳元に甘いささやきをする! 僕は基本的に楽しいことしかやらないけど、何が楽しくて好きかってことは限定してないから、赤坂さんが「こういうことやりたい」って夢を語り、それがおもしろそうだと感じたら、まずは二人で出かけていくわけです。例えば映画監督にしても。わかる人に話を聞いてみないと、夢が現実になるのかならないのかもわからないからね。それをわかってから姫に言わないと、いくら耳元でささやくにしてもオトせない。
足立 何か具体的なものがないとね。
赤坂 その映画にしても、最初は内容も具体的ではなかった。いろいろ考えて、僕らはそれぞれのキャラクターがはっきりしてるから物語にしやすいんじゃないかって思ったんです。僕は一応カッコマンなんだけどドジもするようないわゆる3枚目の役で、足立さんは現実を見つめる押さえどころで主役ですよね。それで斎藤さんは盛り上げ役。
斎藤 僕は、“キャッツアイ”みたいなストーリーを考えて、僕が捕まったところを二人が助けに来てくれる、なんてね。足立さんが捕まって助けに行くのだと、僕ら二人は途中で挫折しちゃったりするようなキャラクターだからね。赤坂さんは「行くぞ!」って張り切るんだけど突っ走るだけで落とし穴があったりするから、足立さんが周到に作戦を練る(笑)。
赤坂 今までは、役者さんがミュージシャンを演じるということはあっても、逆はほとんどないから。なんか僕らだったら出来ちゃうんじゃないかなと思ったんですよ。
足立 そんな話を聞いて、私は「だいたいどこからそんな話が出てきたのかしら?」って思いましたね(笑)。
斎藤 僕は、それが現実にならなくても発想としてはおもしろいな、と思った。僕はこれまで、このトリオ以外でも、冗談で言ってるようなことを現実にしてきたわけですから。
赤坂 そうですよね。テレビ番組や企画ものの演奏会など、斎藤さんの活動は本当に独特なものが多いですからね。
忘れられない出会い!?
赤坂 僕が斎藤さんと初めてお会いしたのは、斎藤さんがレギュラー出演されていたNHKの「トゥトゥアンサンブル」という番組に呼んでいただいたときかな。1998年くらいでしたね。その後もイベントなどに呼んでいただいて。「トゥトゥアンサンブル」は非常に視聴率も高くて、良い番組でしたよね。教育番組ですから全国放送されていて、再放送も何度も何度もやっていましたから、かなりの人が見ていたでしょう。あれを見てクラリネット始めたって人もいましたよ。
斎藤 そういう話を聞くとうれしいですよね。
赤坂 足立さんと最初にお会いしたときは、覚えてますか?
足立 どれが最初だろう・・・。一緒に演奏してないけど、たくさんの出演者がいるコンサートなどでニアミスは多かったですよね。
赤坂 ヤマハ銀座店なんですよ。クリスマスのイベントで、すれ違ってお辞儀したくらい。
足立 私は赤坂さんに対して、一緒に演奏する前に持っていたイメージから結構変わったんですよ。プロフィール写真や普段の出で立ちからして、本当にもう「貴公子」そのもの、浮世離れした、って感じかなと思ってた。もちろん舞台ではその気高さとさわやかさが表れてはいるんだけど、同時に夢を語るような情熱的な内面を秘めていて、それを自然に周りの人に感染させるというか。表面的にはそうは見えないのに、実は内側は燃えている。一緒に演奏していてそれがよく判りました。
赤坂 実は暑苦しかった?(笑) 心配なことは、映画を作るって話で燃えたぎっているときに、足立さんは割と引いたでしょ? 野心とロマンのみでモノを語ろうとする男は、女性としては心配になってついて行けなくなのかなぁ…なんて。
斎藤 それが魅力じゃないの!
足立 そう。超現実的なだけでは魅力ないと思いますよ。
赤坂 ありがとうございます。クールなハートで熱い頭、なんて。本当は逆じゃないといけないのかもしれないけど。
斎藤さんと足立さんの出会いは?
足立 私からのラブコールです。8年くらいまえに、ハンガリーのソプラノ歌手イロナ・トコディさんのライブCDを聞いて、「このピアニストと一緒に演奏したい!」って一聴き惚れした、それが斎藤さん。もしかすると国内にはいらっしゃらないかもしれない・・・と思いつつもアポイントを取ってもらい、「あの方はいずこに?」なんて待ち焦がれていた期間中、ある日何気なしにテレビをつけたらそれこそ「トゥトゥアンサンブル」をやってて、おもしろい格好をしておもしろいことを言うピアニストが出演していました。「ハ〜イ! サイトウでぇす!」なんて言ってて・・・ちょっと待てよ、この人、私がラブコールを送ってる斎藤雅広さんと字も同じだし、よく見ると顔も似てるような・・・。
斎藤 (爆笑)だって本人だもん!
足立 そのギャップがショックだったんですよ! 私この人を探してたワケ??って。番組の中で弾いてらっしゃるピアノの音も、CDとはまったく違う雰囲気で。
斎藤 最初に共演したときはモーツァルトでしたね。
足立 「モーツァルトは嫌いだ」なんておっしゃいましたよね。嫌いなものには気がないというか、そういうことも経ながらずっとやってきたんですが、斎藤さんの独特なアプローチ、アイデアにどんどん中毒のようになってしまいました。
赤坂 なんだか足立さんらしいエピソードだね〜。斎藤さんは本当にいろんな面をお持ちですからね。
音楽はイキモノ! いつも新鮮なものを届けたい
赤坂、斎藤、足立の三氏による、高い音楽性とエンターテインメント性を兼ね備えた「スーパー・トリオ」。この、“スーパープレイヤー”が3人顔をそろえた夢のトリオの座談会、前回は三氏の“運命の出逢い”エピソードを紹介したが、今回はスーパー・トリオが考える“アンサンブルの極意”を中心にお届けしよう。演奏技術が高いではない、彼ら流の「よい関係」は、終始和やかに進んだこの座談会でもかいま見ることができた。
スーパー・トリオ流アンサンブルの秘訣
赤坂 僕らのこの「スーパー・トリオ」は演奏しても楽しいし、話していても楽しい。でも基本的にそれぞれ好きなことだけしゃべってて会話にはなってない気がするんですが・・・。そんな僕らがどうしてうまくいってるのかと思って考えてみたら、みんな血液型がバラバラなんですよね。僕が典型的なA型、足立さんが真面目にコツコツ努力するO型、そして斎藤さんがそのまんまB型。僕の経験上、アンサンブルを組む上でメンバーの血液型はバラけているに越したことはない。A型ばかりで組んでしまうと、上手くいっているときはバッと盛り上がるけど、ひとたび何か問題が起きると全員シューンとなってしまうんですよ。
足立 O型は割と大らかで楽観的な人が多いですが、そうですね・・・やっぱりA型と一緒で上手く行くときはすごい、けど、悪い時も「ま、いっか」で終わっちゃったりして。
赤坂 プラス思考なんですね。O型の女性って、一度何かを決意すると固いですよね。
足立 それはもう! しかも選択は早い。
斎藤 B型はみんな自分勝手だから、「アンサンブルの極意=人が合わせてくれる」と思ってたりして(笑)。だけど結果的にうまくいって結果オーライってことが多い。このグループは女性がO型で締めてくれるからいい関係ですね。
足立 そうでしょう〜! 苦労してるんですよ、私。大まじめなところが長所であり欠点でもあって、その分お二人のおおらかさで持ち上げられているというか。3人で組んだときの独特の楽しさが舞台の上でも出せている気がします。血液型だけでは分けられないとは思いますが、この3人が揃ったときに思わぬ展開があるんですよ。例えばピアノの前奏にしても、私がその曲に対して持っていたイメージとは全く違う雰囲気で始まったり。最初は「エッ? この前奏で私はどう歌えばいいのかしら」ってとまどうんだけど、「それなら私なりに持っているもので」と決意して歌っていると、赤坂さんによって次の新しいキャラクターが加わる。すごい複雑な混合がされて、同じ曲だけど新しいアプローチができるんです。
斎藤 B型は決めごとが一番嫌いで、エブリタイム・フレッシュですから! それに練習も・・・やったって本番どうなるかわからないし(笑)。
足立 それでも一応やっておいたほうが安心じゃないですか! まあ、必ずそうじゃないことが本番で起こるけど、そのことによって新しく生まれたことがたくさんありますね。私が斎藤さんの伴奏でひとつのアリアを歌うとします。で、「なんだかいつもと全然違う雰囲気だったけど、お客さんはどうだったんだろう・・・」って不安を感じながらも舞台を後にすると、マネージャーさんから「いや〜、今日のは良かったですよ!!」と言われたり。斎藤さんは「フレッシュで楽しい」とおっしゃるけど、私にとってはいつも緊張なんですよね。
斎藤 僕は「それ見たことか!」ってね(笑)。
赤坂 そういうことが随時ありますね。本当に音楽はイキモノだということを再確認しますよ。あと、素晴らしいのは「苦難を乗り越えられる力がある」ってこと。先ほどの話に戻りますが、A型同士だとひとたび何かが起きるとそれを乗り越えられず解散、というさみしいことになる。だけど僕らは3人とも違うことを考えているから、「これはダメでしょう」ということが起きても誰かの発想で「そうしてみれば上手くいくかもしれない」となることが多いです。
足立 誰かが救いの手をさしのべる、ってところですね。
赤坂 音楽以外の問題にしても同じです。演奏会場までの移動だったり、そういう細かいことでモメる団体もあると思うけど、僕らはけんかにもならない。
足立 けんかになりようがないのよ。ひとつのことで話しできないから・・・。何か問題が発生しても、一人だと暗く突き詰めて考えてしまう部分が、お二人のおかげで助けてもらってる。それぞれ違う面を持っているから、うまくいくんでしょうね。
音楽と人間関係は比例する
赤坂 アンサンブルって人間関係が一番大切ですよね。あまりにもべったりすぎても良くないし、離れ過ぎてもよくない。どこまでその人のワクに入っていいかってところあるじゃないですか。グループによっては、絶対一緒にご飯を食べなきゃいけない雰囲気があったり、本番が終わったら毎回打ち上げに参加しなきゃいけない空気があったり。そのことに少しでも「めんどくさい」って気持ちがあったらそれがだんだんストレスになってくるでしょう。僕らの場合は、足立さんは歌う前はたぶん食べないだろうから、じゃあ二人で行けばいいか、というふうに、決めごとがない。融通が利く仲ですね。
足立 特に本番前はそれぞれ自分のスタンスがあるから、踏み込まれると鬱陶しいと感じるかもしれませんものね。それをみんなが感じとって、負担のない状態でいける。
斎藤 無理強いとか一切ないしね。いつだったか、九州公演が終わって、僕はちょっと居残りするんだけど二人は翌日の10時半にホテルを発つと言っていたから、朝ロビーに見送りに行ったら誰もその時間に来やしない(笑)。聞いたら、赤坂さんは始発で、足立さんは10時ごろ、それぞれ勝手に出ちゃったって。みんなマイペースで、そこがいい。
足立&赤坂 笑
赤坂 話し合いなしにその関係を築けたことで、やっぱりプロを感じましたね。安心感がある。このトリオだったら、僕はクラリネット奏者を引退してもこれだけはやりたい!
斎藤 みんなジジババになってもやろうって言ってるんだよね。
足立 最初は先のことなんてどうなるかわからなくて組んだけれど、こんなにも、気持ち的にも演奏としてもスムーズにうまく行くとはあまり思ってなかったですよ。演奏するジャンルを含め、いろんなことをガチガチに決めちゃって窮屈な思いをすれば、それは結果的に窮屈な音楽になるのかもしれないなぁと。
赤坂 そうですよね。演奏する曲のジャンルも幅広く、自由な感じで。このはっきりとしたキャラクターを持ったおもしろいメンバーが集まって、我々でしかできない音楽が実現できてますよね。
ホントの意味でのエンターテインメントを目指して
足立 斎藤さんのアレンジで、みんなが主役になるための工夫をしてくださって、今のレパートリーは結構理想系ではありますね。
斎藤 アレンジする時は、誰がバックにまわってもいけない、スーパー・トリオっていうくらいだから全員が主役じゃなきゃいけないんです。そうなると赤坂さんのパートは結構難しくなったりして。
赤坂 そうそう、超絶技巧のオンパレード!
足立 私たちのレパートリーには、普段私が自分のリサイタルとかオーケストラとのコンサートではできない曲、例えばカルメンのメドレーがありますよね、通常カルメンのパートはメゾソプラノが担当するんです。でもここではトリオならではの曲ということで、アレンジしていただいたものを歌うことができる。ポップス系の曲もあり、それはそれでとても気持ちよくて、自分の新しい表現が出せるので勉強になります。もちろん、あまり接点のないクラリネットとの共演も楽しいです。『ポーギーとベス』をやるときは、赤坂さんがバリトンの旋律を吹く。オリジナルで演奏するだけではありえないことなので、斎藤さんのアレンジによっていろんなことを体験できるし、新しい発見があります。
斎藤 これからも、いろんなオファーもあるのでそれに応じて作っていきますよ。僕は赤坂さんとは以前からテレビ番組でご一緒させていただいたりしたんですが、ここまで突っ込んでやってこなかったので、最初はイマイチ芸風をわかってなかったんです。むやみに難しく作っちゃったけど、今は赤坂さんがより光って、楽しそうに演奏できるスタイルが作れるんじゃないかな。クラリネットって変幻自在で柔軟性があるから、ピアノ伴奏をつけていても、クラリネットはこんなに色があるのにピアノは・・・みたいにならないようにと考えるとやりがいがある。声並みにいろんなことが語れる楽器であり、ピアノよりももっと早いパッセージが吹ける。ダイナミクスも広いし、こんな小さな1本の楽器だけどいろんな可能性を持っていますね。普通の楽器は“ポピュラーミュージックからクラシックまで”って言うけど、クラリネットは“クラシックからちんどん屋まで”ですから!さらに広いんです。クラリネットってすごい楽器なんですよ。それに加え、赤坂さんの持ち味である情熱的な部分があいまって・・・。
赤坂 2年の月日の中で、それぞれの持ち味を熟知してきたという感じですね。
足立 そうそう。クラリネットって歌う楽器ですよね。赤坂さんと共演するまでは、クラリネットの音色って本当に「ポー」というものしかイメージなかったんですが、こんなにもいろんな表情が出せて、声と同じような扱いができるんだなと。息を使うという意味では歌と同じなので、正直、赤坂さんとの出会いでピックリしました。やっぱり、赤坂さんに声をかけてよかったですよね。
斎藤 そうですね。僕は、フランク・シナトラとかそっち系統に、人間的にも音楽的にもすごく影響を受けてるんですよ。いつも音楽仲間で楽しく群れてるんだけど、それぞれのプレイヤーがキャラクターを持ってて芸達者でしょう? そんな素晴らしい仲間たちと一緒に旅をしながら演奏して・・・そういう暮らしというか、ファミリー的なコンサート活動をしたいと常々思っているんです。ホントの意味でのエンターテインメント。ここにはそれに最も相応しいお二方がいる。実力、キャリア、人柄、すべてが100点満点ですね。それぞれの考えを持って、ベストで行こうと思っているからこそ、僕らはプラス3ではなく、かける3になるんですよね。
足立&赤坂 ありがとうございます。
赤坂 3人で力を合わせて、というのが実感できるトリオですね。これなら、もともとクラシックのファンではない方にも楽しめるようなコンサートができると思います。近いところでは11月にコンサートがありますから、ぜひたくさんの方に僕らのステージを体験していただきたいですね!
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